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10年以上前に放送されていた人気投資バラエティ「マネーの虎」。
その投資額は全部で3億円を超えるほどで、数多くの人がビジネスを起こしていきました。
しかしその中でマネーを獲得した人達の中でも、夢を掴んだ人もいれば失敗して借金を負った人もいます。
今日はその中の一つの「ロコロール」。この一部始終とその後。そして現在までをまとめてみました。
目次
志願者は辻直哉さん。ロコロールの店を開業したい
志願者は辻直哉さん。
ハワイのロコモコを手巻き寿司にした「ロコロール」のお店を始めたいと500万円を希望します。
当時はロコモコ自体の知名度が少なかった頃なので、そのロコモコを、さらに手巻き寿司って、「一体なんなんだ!」と興味津々の虎達。
今回のメンバーはコチラです↓
- 金を出さない事で有名な頑固社長「堀之内九一郎」
- 美空ひばりの息子である若き社長「加藤和也」
- なんでんかんでんラーメンの火付け役「川原ひろし」
- 食べ物大好きマネーの虎界の女神「尾崎由利」
- 監獄レストランを広めたやり手社長「安田久」
ハワイでオシャレな雰囲気のあるロコモコをファーストフードにすることで、若者を大いに取り入れられると話をすすめ、さらに食べ歩き文化を作り出した渋谷のセンター街に店を持ちたいと語りました。
かなりやり手の経歴に虎もたじろぐ
現在は大手でヒット商品の開発に携わる辻さん。これまでにも数々の成果を上げてきました。
- まずは牛角の社長から「感動するタレを作ってくれ」という注文を受け、見事その社長を感動させるタレを作ることに成功。
- また、お弁当チェーン店でのヒット商品に「わらじカツ」という、はみ出る位大きなカツを乗せたメニューを考案。見事人気商品としてヒットさせました。
っていうか、チェーン店のメニューって委託で作ってもらったりするんですね。また一つ知識がつきました笑
と、そんな数々の成果をあげた傑作であるロコロール。きっと美味しいんでしょうねぇと期待が高まります。
志願者の思考に反論する虎
飲食の虎である安田社長が、辻さんの実績に興味を持ちます。
これまでもいくつかのファーストフードに投資をしてきたこともあり、投資の期待が高まります。
しかし、「そんなに活躍している会社だけど、マネーが成立したら辞めるんですか?」という質問から場の雰囲気は一転します。
なんと、ヘットハンティングされたという企画会社に入社してまだわずか4ヶ月だと言います。
辻さんはそれでもこのビジネスを始めたいと語りますが2人の虎がそれに噛みつきます。
「経営者になるんなら、重要なポジションについてる人に突然辞められることでどれだけ困るか分かっているでしょう!」という加藤社長。
しかしそれに対して、「仮に1年間やったとして、それで義理を果たせるとも思えない」と反論する辻さん。
どちらの意見もなかなか難しい問題ですよね。これはもう価値観の問題なので、答えは出ません。
しかし、安田社長はもうそんなことは特に気になっていない様子。とりあえずそのロコロールを食べてみたいということで試食に入ります。
誰でもカンタン!ロコロールのレシピ
それではお家でもカンタンに作れちゃう、ロコモコ巻き寿司「ロコロール」の作り方を紹介していきましょう。
1、醤油と柚子胡椒で漬けたマグロをシェリーというお酒を使って軽く炙ります
2、ご飯はサフランとカレー味の2種類を選べるようになっています。
3、ノリの上にご飯、レタスやパプリカなどのカラフルな野菜を乗せ、漬けマグロを乗せます。
仕上げにニンニクチップとマヨネーズをかけたら巻いて完成!
ロコモコの原型はまったくとどめていませんが、美味しそうですよね!実は僕も作ってみたことあります。
炙ったマグロが、半熟のツナみたいな感じが出ててめちゃくちゃ美味しかったです。が、海苔がシナシナになっちゃうのでパリっとするやつを使うとさらに美味い!
・・・脱線しました。お話に戻ります。
試食タイム
そんなロコロールを虎の目の前で作って見せました。他の虎は「どんな食べ物なんだ」と周りに集まりましたが、堀之内社長と加藤社長は、こんな人にはもうお金は出したくないと、試食も拒否します。
そんな中、いよいよ試食です。
TVの前で堂々とかぶりつくマネーの女神尾崎社長。いつも美味しそうに食べています。
安田社長ももちろん絶賛。決断を固めていきます。
さらに堀之内社長と加藤社長にも食べてもらえないかとお願いをします。
周りがうまいうまいと食べているのを横目にしていた2人の社長はまんざらでもなかったのが、「しかたねーな」とガツガツ食べだしました笑
味にうるさいあの虎が唸る!!
ここで一つ情報を。登場回数が一番の常連である堀之内社長なんですが、この人とても試食にうるさいんです。
海外の有名なブランドアイスを試食した時には「明日にでも同じ物作れる」と一刀両断。
また、みんながうまいと絶賛した料理パンを試食した時は「全然おいしくないよこれ」と否定。
特に食に関してはかなり厳しい舌をお持ちで有名なんです。
そんな堀之内社長に司会の吉田栄作が問いかけます。
「堀之内社長が試食を完食したのは初めてだと思うんですけど・・・。どうですか?」
なんと、みんなが絶賛しても自分だけは否定する堀之内社長が!そしてさっきまでこんなやつの飯は食えないと言っていた堀之内社長が・・・!!
美味しい!大好きです!とまさかの絶賛。
それに便乗し加藤社長も
べた褒めです笑
おいしい料理は場の空気も変える力を持っていますよね。あれだけギスギスしていた現場が、一つの料理でみんなを笑顔にしました。
そして文句なく安田社長が動きます。
500万円を全額投資。辻さんの実績、そして虎達を唸らせた商品力に賭けました。
ガンバレ辻さん!批判していた2人の社長も拍手で祝福し、プレゼンは幕を閉じます。
ロコロールその後 まだまだ立ちはだかる壁
掴んだ500万円を元にさっそく開店準備に取り掛かる辻さん。しかし2つの問題が襲い掛かります。
まずは新メニューの開発。ロコロールに続くもう一商品を開発することになりました。
そして試作品を安田社長の経営する監獄レストランに協力してもらい、実際に試食してもらいます。
・・・が!?
- 特別おいしくない。
- オシャレだと思わない。
と、まさかの酷評で苦戦してしまいます。
悩み悩んだ末に、ロールを皮に包んで揚げた商品を作ってみましたが・・・
完全に瞑想してますね・・・。なかなかメニューが決まりません。
さらにもう一つの問題も発生していました。
物件も決まらない
目を付けていた渋谷センター街の物件が無くなってしまい、原宿まで範囲を広げて探しますが、予算にあう物件がない。
そして、あっても裏路地だったりと理想の店がどうしても見つかりません。
時間も刻々と過ぎていき、追い詰められた辻さんは安田社長の元へ相談に行きました。
しかし・・・
そんな辻さんに怒りをみせる安田社長。
安田社長が店を始めようとした時も物件探しに大変な苦労をしました。
資金は少ないけど妥協はしたくないと、足を使って探し回る物件探しの大変さを十分に分かっています。
しかし、そんな安田社長が独立する時には、同じようにお金がなく物件探しに苦戦していたのですが、大家さんのところに通い続け、土下座までして頼みました。
何回か通うとその熱意が伝わり、保証金を後払いにしてもらうことが出来たのです。
「大変だったり、やりたくないことこそ自分でやらなきゃ。それが社長になるってことだよ。」
その言葉が辻さんに突き刺さります。
いよいよおオープン!
それから辻さんの目の色が変わりました。今までずっと下を向き続けていたのが、前を見るようになりました。
やっぱり人間ダメだダメだと思っているとうまくいかないものですよね。気持ちがノっている時は不思議と物事も上手く運んでいき、なんとかオープン日が決まりました。
悩み抜いた商品は原点に戻り、みんなが好きなハンバーグのロコモコをカップに詰めた「ロコカップ」という商品が誕生しました。
自画自賛してますけど笑 これいいですよね!気軽にランチが取れるし、食べてみたい!
そしてお店ですが・・・
なんと原宿の竹下通りに1号店が完成しました。お店もポップな感じですよね。
吉田栄作さんが中を覗くと、辻さんが出てきました。
やっぱり夢に向かっていると顔が違いますよね。パワーが溢れ出して、オープンまでの疲れなんてどこかに飛んで行ったような気がしてきちゃいます。
そして、ノルマを発表しました。
オープン当日にはかならず売上ノルマを立てます。プレゼンをしたあの日。志願者が売れると言ったプランが真実だったのかを確かめる場でもありますし、また投資してくれた社長の顔を潰すわけにもいかないので、とても緊張する一日になります。
そしていよいよオープンします!が!?
注文がゴチャゴチャになったり、頼んだお客さんを忘れてしまいウロウロしてしまいます。
また、思うようにお客さんが入らないことに対してバイトが切れました。
社長自ら客引きに行かせるバイト。もうみんなピリピリしてます。
食べれば分かってくれる。あの虎達を唸らせたファーストフードが売れないわけがない。
そんな想いは空回りし、時間は無情に過ぎていきました。
そして結果発表の時
お店が閉店時間を迎え、安田社長が到着します。
そして、これまでの事と今日一日を振り返ります。
そして結果発表です。味もいい。オシャレでインパクトもあり立地条件も最高のこの場所で出した目標は25万円でした。
そして、その結果はこのようになりました。
「15万6040円。」
目標に10万円も届いていない結果になってしまいました。
この散々な結果に、安田社長が問い詰めます。
結果は結果で変わらない。なのでその理由をしっかりと見つめなおし明確にし、一つ一つ改善していくしかない。
長かったオープンまでの道のり。しかし、ここからが本当のスタートです。
その後 ロコロール閉店へ
そんなオープンでコテンパンにやられたロコロールでしたが、ロコロールが番組で放送されると同時に一気に話題店に。毎日の様に行列を作りました。
そして半年後には念願の渋谷店をオープン。さらに名古屋にももう一店舗と、一年で3店舗まで増やす事に成功していました。
そしてオープンから1年4ヶ月後。だいたい2003年ごろですね。
その後はどうなったのか。年商はいくらほどになったの確認をしにお店に向かいます。
・・・すると!
見ての通りロコロールがあったお店はもぬけの殻になっていました。
何があったのか。真相を確かめるべく本人を呼び出します。
一気に3店舗と一見順調に見えたロコロールでしたが、全て他に譲渡していました。
失敗の理由は渋谷、名古屋とそれぞれに1000万円以上もの開店資金をかけてしまい、店舗の展開を急ぎすぎてしまったからと話します。
そして現在は無職。これから先どうしていくかはハッキリと決まっていない状態で、心残りを残したまま番組は終了してしまいました。
まとめ ~現在の状況と失敗の理由~
味に厳しい虎全員を唸らせた味。そして今まで数多くのヒット商品を生み出してきた発想力を武器に、まったく死角がないと思われた今回のビジネスプランでしたが、わずか1年ちょっとで倒産となってしまいました。
本当にビジネスって怖くなってきますよね。これだけの条件が揃いながらも失敗するって、もう本当に正解なんかないんだな、と思います。
さて、今回は失敗に終わってしまったロコロールを考察してみます。
ブレイクほど怖いものはない
失敗の要因は「お店の展開を急ぎすぎた」と話している通り、番組の影響で作っていた行列がずっと続くと思い店舗を増やしましたが、ブームが去った瞬間には取り返しの付かないことになってしまいます。
さらにお店にお金をかけすぎたことで経営が圧迫し、今が悪くても持ちこたえていれば流れがきたかもしれないのにそれに耐える体力(資金)がなく、あえなく倒産。飲食店では良く聞くお話ですよね。
このケースは有名な「白いたい焼き屋」のお話と怖いほど似ていますよね。ブレイクほど人から冷静さを無くさせるものはないかもしれません。
得意だったのは「売る」より「作る」方
プレゼン中は、仕事も出来そうだし実績もあって、かなりやり手だなというイメージがありました。
しかし、料理作ったり客引きしているところを見た時に「あれ?なんか違うな」と違和感を覚えました。
そういえばですけど、一度も辻さんがニコニコ笑っている場面がないんですよね。見た感じ「商売人」ではなく「職人」的な雰囲気がありませんか?
それがやっぱり店にも出ちゃっていたらしく、ロコロールの評判では「接客態度が悪い」と話題になっていたようです。
これは良い悪いじゃなくて、得意分野が違ったのかなと思いました。
例えばあの冷徹の虎、南原社長がラーメン屋をやっていたとしたら・・・。想像も付きませんよね。
さらになんでんかんでんの川原社長が車輸入業を始めていたとしたら・・・。ちょっと心配です。
今回のように企画力があるのにそれを生かせない接客業をするっていうのはなんか違った気がしますし、そんな人が接客を教えることも出来ませんからバイトも育ちません。
結局は結果論になってしまいますけど、あえてあげるならこういった理由が失敗の要因になったと思えます。
しかしこれはこのロコロールだけに言えることでしょうか?
- 他と比べて負けない味
- どこにも売ってない珍しい商品
飲食店に限らず、商品にこだわり、研究し、多くの人に認められるようなアイデアだったのに失敗してしまう。そんなケースは日本中に山のようにあります。
また、今までの実績が経営者になった途端通用しない。例えば「今働いている職場では誰よりも仕事が出来るからこれは独立しても食っていける」というようなケースも失敗する要因になってしまうことが多いんです。
「結局一番大事なのは経営力」と言ってしまえばカンタンですが、やはり資金をかけたということが一番の原因に思えます。
ホリエモンの記事で、「起業に勉強は時間の無駄!実践あるのみ」と言っていたんですけど、確かにそうですよね。
いくら勉強してもなにが役立つかも分からないしキリがない。どれだけ万全な準備を整えても失敗する時は失敗してしまうのがビジネスです。
なら一番は、実際に動き出してしまい、問題が出たらその都度軌道修正していく。実際に起きていることだから勉強にも力が入るし、実践で役立つことだけを勉強すれば効率も良いですよね。
なので、それには資金をかけないこと。リスク(店舗)を増やさないこと。出費を抑えたビジネスモデルを作ること。
この3つがやはり大事だなと思いました。
ちなみにそんな辻さんでしたが、10年たった現在は、ゲームやおもちゃで有名な大手企業バンダイナムコにて、役職に就いてご活躍されているようです。
ロコロールは結局失敗には終わってしまいましたが、大きな挑戦をしたその経験は一生残りますよね。
やらないよりはやって後悔と言うように、大手企業を辞めてまでチャレンジした姿はきっと多くの若者に夢を与えました。
やっぱり難しいですけど起業は楽しい!